雪降るヴェローナの街。城では慌しく、大掃除。 これは、今年最後のくだらないお話―――。 偽りの大掃除 「いきなりだが、愛を語れ!」 「ついに頭がおかしくなった?」 「いや、君も何書いてるんだ!?」 事実いきなり、叫ぶエルマに冷静冷徹冷血と来年の抱負に書き込んでいるセルマが突っ込みをいれその豊富にアルトリウスが突っ込む。 「おかしくなってない!愛の再確認だ!」 「あっそ。来年の抱負です。エルマ限定ですのでご安心を。」 「とりあえず会話してやろうよ!」 エルマの言葉をたった3文字で流し、ニッコリと酷い事を言うセルマ。アルトリウスはさらに突っ込みを入れた。 「畜生っバカ!愛してる!!」 エルマが叫びながらセルマに抱きつく。 「文章の前後あってません。そして激しくノーセンキューです。」 それを裏拳で軽くあしらうセルマ。 この兄弟は変わらないな。とアルトリウスは突っ込むのを諦めた。 「うわーんっお兄様ーーー!!……セクハラで訴えないでね?」 「……自覚があるなら止めなさい」 抱きついて離さないエルマを引き剥がそうと必死に格闘するセルマ。 「はーいそこまで★」 ガンッ←エルマ ベシッ←アルトリウス ビシッ←セルマ 『〜〜……っ!』 突如乱入アリオスにエルマは拳骨、アルトリウスはとばっちりで新聞紙で殴られ、セルマはデコピンを喰らってその乱闘は止められた。 「ほら君達。サボってないで城の大掃除を手伝いなさい。」 セルマに雑巾エルマに箒、アルトリウスにハタキを持たせ、「あーいそがしいいそがしい」とアリオスは立ち去っていった。 『………っ』 「?どうしたんだい2人とも……」 硬直してしまっているセルマとエルマの顔を覗き込む。 「……て…。」 「……え?」「ほっといたら腐海の森を作り上げるあの先生が進んで掃除するなんて……っ」
「え、ちょ、ま……」「天変地異がおこる…いや、世界が崩壊するぞ!!」
何か目がマジな2人にアルトリウスは何を言っていいのかわからなくなった。 そして、3人の生活にちょっとだけ興味を持ってしまった。 「ま、とりあえず、掃除しようか。掃除。」 『はーい……。』 3人は大人しく大掃除を開始する。 「あ。そういえばさっきつづきなんだけどさ。 俺、そこに愛さえあれば、男だろうが女だろうが……この際どっちでもいい」 「えええ、何突然の問題発言!」 「何で僕のほう見てるんですか?エルマ。」 落ち着け!とエルマを揺さぶるアルトリウス。セルマは絶対零度の笑み。 「ですから、俺は愛に飢えているのです」 「……だから何故そこで僕を見る。来るな。近寄るな。」 しっし。と後ずさりをしながらエルマを追い払おうとするセルマ。」 「だいじょうぶ!逃げても一生、ストーカーし続けると誓うから!」 「よし、誰か衛兵呼んでください。」 (あ。この子ヒドイ。) あくまでニッコリ笑って言うセルマにアルトリウスは心からそう思った。 「お前は俺を何だと思ってるんだ?!」 さすがのエルマも反撃。しかし。 「変な人、すなわち変態だと思ってる」 言葉をオブラートで包まないセルマの言葉はサックリとエルマに刺さった。 「俺は繊細な心の持ち主なんだよ!」 「繊細の意味も知らないで、戯けた事を言うな?」 「うああああ!大人なんて、大人なんてぇえぇぇ!!」 「あはは〜なにを今更」 「って言うかセルマは大人なのか?」 エルマ基準、大人な人=自分より頭のいい人。 セルマはぐぬあああああともだえているエルマを見て、止めの一言。 「君は、なんて残念な存在なんだ」 「本気で残念そうな顔して言うなああああ!」 「って言うか掃除してないぞ!?ちょっと待て!しかもこれで今年終わりか!? 兄弟喧嘩(一方的)で今年終わっていいのか二人とも!!」 なにやら突っ込みどころはたくさんありますが、今年はこれでおしまい。 来年もよろしくお願いします END 01231 嵐丹