第1話 洗濯機からこんにちは。  前編


いつかの時代。どこかの場所。それは、パラレルワールドと言うものでしょう。
そんなところから。日常で非常な2人の生活が、始まります。

                  ★

ある家の一室。そこには2人の少女だか少年だか判らない二人組がいた。
勉強でもしているのだろう。
「開いたページが世界の未来だ!」
「歴史の教科書には過去しかねぇよ!」
ぴょんぴょんと跳ねた黒髪のショートカットの少年(?)が歴史の教科書を手に叫んだ。
すかさず黒髪のセミロングの少年(?)が盛大に蹴りのツッコミを入れる。
「痛あーーー!?風月!格闘技2段の蹴りは初心者の僕にはいったーい!」
「五月蝿い!さっさと勉強しろ歴史25点バカ嵐丹!!」
少年(?)嵐丹と風月の攻防は数十分続いた。
「あーもうっ勉強なんてお・わ・り!ゲームしてやる!」
嵐丹はズルズルとゲームを引きずってきた。カセットのパッケージタイトルは

BLACK/MATRIX OO ――――

「嵐丹。それ一人用。」
「ほら見て風月。ベイルさんだよ。相変わらずお前にそっくりだねw」
「無視かコラ。」
メシッと音を立てて風月の拳が嵐丹の後頭部にHITする。
そのまま嵐丹はテレビ画面に激突した。
「痛ってー!きさまーーー!…ってあれ!?ここテリオス様が出るはずなのに!」
「は?出てないじゃん。違うとこだr「何十週した僕をバカにしてんのか!」
最愛のキャラが出現しないゲームは不要。
とでも言いたげに嵐丹はゲームのスイッチを切った。
「洗濯物干してくるー……。」
「おう。逝ってこい。」
漢字が違うのを知りつつもこれ以上突っ込まれたら死ぬと判っていたため、
嵐丹は何も言わずに部屋を出た。
そう。ここは嵐丹の家。両親を早くに亡くした嵐丹は一人暮らしをしてきた。
それはもう、盛大に。
もともと金持ちの家系の嵐丹は遺産を全て受け取りフツーに生活している。
変や奴等に追われる事があったがそんなのは根っから風月の餌食に。
「さてさて。洗濯物を……」
がぱ。と洗濯機の蓋を開く。…何か。白い。
嵐丹は黒い服を好む。黒い服ばかりだ。なのに、白い。
「なんだ?これ…」
ずるり。
「やあ!こんにちは!」
引っ張り出したのは、白い服の黒髪の。青い瞳の。
「あ、ああっ…!!」
白き翼の、美少年。
「あああああああああああ!!!!!!」
「五月蝿い嵐丹!何いって・・・って!ええええええ!!?」
絶叫する2人。洗濯機から出てきたのは―――
「ところで、ここはどこだい?」
BLACK/MATRIX OO 十審将が1人テリオス・セントギルダ―――。



               第1話 前編・了