共演その3!シンとロンドのお悩み相談室〜テレジアには苦労症の人が多いよね。〜

「はい、こんにちわ!テレジアお悩み相談室のシンです!」
「同じく、ロンドです。
今回はテレジア中の困っている人の悩みを解消するべくこの教室を開きました。」
「それでは!お願いしまーす!」
簡単に挨拶を済ませた二人の下に一番目の相談者がやってきました。

No1 ウィダーシン

「邪魔するぞ……」
「ボムレイン!」
「虎牙連斬!!」
「ぐふっ……カイやカナデだけでなく貴様らまで……っ!」
部屋に入った途端二人の猛攻を受けたウィダーシンは
部屋の隅っこでいじいじと三角ずわりをはじめる。
「ごめんごめん。思わず投げちゃったよ。」
「僕たちが悪かったです。
だから部屋の隅で三角ずわりしてキノコ栽培するのやめて下さい。」
いじけるウィダーシンを引きずって椅子に座らせ、二人は早速相談を始めた。
「で、悩みは何なの?」
「単刀直入にいう。お前達のところの鬼と悪魔のことだ。」
「無理ですね。はい、帰り口はあちらです。」
ロンドがスッパリとウィダーシンの本気の悩みを切り捨てる。
「早いぞ!もう少し悩めっ!!」
「そうだよロンド!怪我してまで入ってきたウィダーシンがかわいそうだよ!」

いや、Lv75のロンドの攻撃よりLv250の貴様の攻撃のほうが痛いのだが。

ウィダーシンは心中で突っ込みを入れる。
「そうですねー…あの二人に太刀打ちできるとしたらピンクの髪のじゃじゃ馬娘
…ベアトリクスぐらいでしょう。彼女に相談してみては?」
「そうか。すまないな。世話になった。」
そういって部屋を出て行くウィダーシン。それを見送って、シンがぽつりとつぶやいた。
「でも…ベアが相手にしてくれなかったら戻って来るんじゃないかなあ…」
大量のボムに危険と書かれたラベルを
一つ一つ張っているシンに苦笑いしつつもロンドは答えた。
「大丈夫ですよ。彼はもう来ません。……永遠に。」
『あんたまたカナデに、ましてやカイまでに付きまといやがってーーー!!
殺す!今この場で殺してやるーーーー!!』
『ちょ、待て!話を…ギャアアアアアア!!!』
「…合掌。」
「同じく。」
その後、アイリリー・ドープルーン・ガヴァタで彼の姿はほとんど見なくなったとか。
一人目の相談を終えて、お茶を楽しむ二人の下に、二人目の相談者が現れました。

No2 リオン

「ここか。シンとあいつがやっている相談室は。」
シンという言葉を強調しながら入ってきたのはおなじみの真紅のマントを身につけた少年、リオン。
「いらっしゃい…あ!リオン!!」
とびっきりのエンジェルスマイルでシンがリオンを迎え入れる。しかしそれとは反対に。
「いらっしゃいませーどーいったご用件ですかー。」
眉間に皺を寄せ、いかにも嫌そうにリオンを迎え入れるロンド。*ロンドはリオンのことがそれはもう大嫌いです。
「きてくれたんだねー!」
「ああ。シンとソレがやってると聞いて飛んできたんだ。」
*リオンもロンドのことがこれほどまでかと大嫌いです。
「ちょっとこいソレ。」
「ソレって言わないで下さいアレ。」
小学生並みの喧嘩をする(本人は本気)二人を見て、シンはくすりと笑う。
「馬鹿な!僕はソレじゃなくてシンに会いに来たんだ!」
「アレの相談受けけるぐらいなら街のお姉さん達の相談を受けたほうがましです。」
ほぼ同時に反論し、二人は睨み合った。
「フン。変態ナンパ男が。」
「今のは言葉のあやです。しかもソレは僕ではなく僕ではなくカナデです。シン君を狙う毒蛇め。」
「何だと。」
「何ですか。」

そのころ一方、カイ&カナデ。

「くしゅんっ。」
「んー?カナデ、風邪?」
ドープルーンの街。少し控えめなくしゃみをしたカナデの顔をカイが覗き込む。
「…うーん…これは、誰かからの噂……」
「あはは!そっかぁ。…ね、お腹空かない?」
「…空いたね。そうだ。その辺のお姉さんから貢いでもらおうか。」
にこ、と薄い笑みを浮かべながら、カナデはすごいことを言う。
「あははっ!さんせー!やあそこの素敵なお姉さん!僕たちと一緒にお茶しませんか?」

ナンパしてました。

「まあ、リオンの悩みって何なの?」
睨み合いが取っ組み合いに進化していた二人を止めるようにシンが聞く。
「…好きな人に振り向いてもらうには、どうすれば良い。」
「一生無理ですね。」
「黙れ!お前には聞いていない!」
再び取っ組み合いを始める二人の中に入って、まあまあ。とシンがおとなしくさせる。
「好きな人に振り向いてもらいたいか…だったら、その人の好きなものをあげれば良いんじゃないかなあ?」
そのごもっともな意見にぴたりとケンカをやめる二人。
「そ、そうだな…例えばシン、お前だったらどんなものがうれしいんだ・・・///?」

(最初からそれが目的ですかこの野郎……っ)

ロンドがなにやら心の葛藤しているのを気にせずに、シンは言い放った。
「僕なら〜…からーいお鍋が食べたい!」

………はい?

「シ、シン…それは……」
リオンが顔を青くしている。それもそのはず。彼の好物は甘味なのだから。
「フッ。天誅……。」
「何だと!」
「シン君。僕でよかったら、今度食べに行きましょうか。二人で。」
明らかにリオンに対する嫌がらせをするロンドを、ギッと睨みつけるリオンだったが。
「え!?本当に!行く行くっ!」
とびっきりの笑顔で悪びれなく言ったシンの一言にリオンは撃沈した。
「……っ!!また来るっ!!!」
「次から料金取りますからねー。」
「五月蝿い黙れえええ!!」
してやったりと笑いながらロンドはリオンを部屋から見送った。
「ふう、ちょっと疲れたね。ロンド、お茶飲む?」
「頂きます。」
再びティータイムを楽しむ二人の下に、鬼と悪魔がやってくるのでした。

No.3 カイ&カナデ

「シーンー!輪舞爆牙弾ー!遊びに来たよー!」
「やあ、いらっしゃいカナデにカイ君。ってロンドです。」
「シンにお土産〜w」
「無視ですか。」
ロンドを軽くスルーしたカイが小さな、おそらく何らかの食べ物の入った袋をシンに渡した。
「僕の分はないんですね。それと…返り血どうにかしてください。何やってるんですか貴方達。」
入ってきた二人を見ると両者とも見事に返り血を浴びている。カナデにしては何かイライラした様子で角砂糖をガリガリと口の中で噛み砕いている。
「カナデ……あんまり連続して砂糖食べると気持ち悪くなるよ?」
そんな状況ではないのにシンの口から出るのはズレた言葉。
「カナデは何をそんなにイライラしているんですか?」
「五月蝿いロンド。今オレに話しかけるな。」
裏カナデ降臨。彼はキレたら手がつけられない。

シンも話しかけたじゃないですか…!

通じないと分かっていても突っ込みたい衝動を必死で押さえ込むロンドを放置してカイと性格がおもいきり変わったカナデ(裏)は椅子に座った。
「どうしたの?そんな返り血浴びて〜。」
「ん?ちょっとね。バトったんだよw街中でww」
「相手は変態。馬鹿。間抜け。生きてる価値がないウィダーシンって言う消えて欲しい存在。」

存在全否定しましたよあの子。

「も〜。街中でバトっちゃダメだよ。」
「いや、シン君。突っ込むところはそこじゃあないと思います。」
必要な所に突っ込まないシンにツッコミを入れるロンド。カナデはいまだにがりがりと角砂糖を食べている。
「僕たち、ドープルーンでお姉さまたちに貢いでもらってたんだよ。」
(貢っ……!?)
「うんうん。それで?」
(流した!!?)
「突っ込むところが多くて大変だな。ロンド。」
「お前は心読まないで下さらないか!?」
「ロンド。敬語が変だよ。」
砂糖を食べ続けるカナデは空気と扱うことにして本題に戻った。
「そしたらさあ。いきなり『カイーーー!カナデーーー!!』って店の中に乱入。皿、カップその他もろもろ破壊。お姉さまたちは逃げるは弁償させられるわ掃除させられるわ。もう我慢の限界。」
「そこで自分の金を出さないカイに怒りを通り越して感心しながらオレの財布から金が消えた。」
「だって財布もって来てなかったもん。」
「まあその後ウィダーシンの財布から金と砂糖代ぶんどったけどな。」
『というわけで相談内容はどうやったらあいつを消せるか。』
何度か耳を疑いたくなる言葉を聞き耐えながら、ロンドは最善といえる答えを導き出した。
「ならばLv250のベアトリクスとニトさんを連れて行ってはどうです?最強ですよ?」
最強後衛コンビと前衛コンビ。向かう所敵無しである。
「なるほど、じゃあいこうか――ー「ちょっとーーー!!」
バン!と扉を開けて入ってきたのはベアトリクスとニト。噂をすれば何とかである。
「ど、どうしたんですか二人とも?」
「どうしたもこうしたも!あの変態。馬鹿。間抜け。生きてる価値がないウィダーシンって言う消えて欲しい存在がウザイのよ!」
「そうなのよ。これじゃあ買い物にいけないわ…。」
何かどこかの誰かさんと同じことを言っているベアトリクスと本気で困っているニトに、鬼と悪魔が交渉を持ちかけた。
「ねえ。僕たち今からそのウィダーシンを抹殺に行こうと思ってるんだけどさあ。」
「お前達も一緒に行こう。あいつを黙らせに、オレ達と。」
何かカナデの性格が違うわ……というニトと事情を知っているベアトリクスは二人とパーティを組んで相談所を後にした。
「ふう。もう、疲れたねー…。」
「帰ってきて愚痴られるのも面倒ですし、店じまいしてお鍋でも食べに行きましょうか。」
「賛成ー!辛いお鍋ね!」
こうして、たった3人(+1人は空気)を相手にしただけで普段の数倍疲れた二人は、とっとと店じまいして、鍋を食べにドープルーンまで避難しましたとさ。

ちなみにウィダーシンがどうなったかは不明です。
ただ、後で2人で鍋を突いていたら4人が妙にさっぱりしたように帰ってきたのを見ました。